発達障害傾向ですが、「営業」できました。

発達障害の傾向がある元・営業が、「人並み」に働くための仕事ハックと「生きづらさ」に向き合う日々を書いています。

【イラスト解説付】表情が作れない人は、「1発言+1表情」を身につけよう

表情がうまく作れない。
よく「感情がこもっていない」と言われる。
今回は、そんな悩みと対策について書きたいと思います。
対策だけ知りたい方は、目次から「■対策」をクリックしてくださいね。イラスト入りで表情の作り方も解説しています。

「1発言+1表情」であいづち上手に

■「表情は要らない」という思い込み

・表情が作れなかった理由

私は長い間、とても無表情な人間でした。同意や感謝などの感情を、うまく表現できなかったのです。

理由は、2つあります。一つ目は、どんな表情をどんなタイミングで作ればいいかが分からなかったこと。 
周囲には表情豊かな人が多かったにも関わらず、その表情を模倣し、身に着けることができませんでした。
表情は後天的に習得するものだという説がありますが、発達障害だとそれが苦手なのかも知れません。
 

・表情って必要なの?

もう一つは、そもそも表情の必要性を感じなかったことです。

「表情は単なるポーズであって、コミュニケーションの本質とは関係がない」とさえ考えていました。
何故なら、コミュニケーションは「お互いの立場」と「言葉の意味のやり取り」だけで成立する、と信じていたからです。
 

■コミュニケーションに関する誤解

・仕事でたとえると

これがどういうことか、詳しく説明しましょう。

例えば、同僚に仕事を頼むとしますよね。
私が「このデータ入力をお願いします(無表情)」と言えば「分かりました」と言われ、何の問題もなく仕事が進みます。ここまでは、特に問題ありません。
ところが、もし気が変わり、別の仕事を頼みたくなったらどうでしょう?
  

・「人には心がある」と知らなかった

ふつう、前言を撤回すれば嫌な顔をされるし、こちらも気を遣うものです。 
ところが私は、こういった感情の変化にひどく鈍感でした。
何度「これをして下さい」「いや、やっぱりこれをお願い」を繰り返しても問題ないと思っていましたし、それは相手が目上でも目下でも同じだとすら考えていました。
つまり、「発言の内容さえ明確なら、相手は私情を交えず応じるものだ」と思い込んでいたのです。
言い換えれば、「人に心があることを知らなかった」とも言えるでしょう。 
 

・エクセルを使うイメージ

これはちょうど、表計算ソフトのエクセルを使う時に似ています。自分がユーザー、相手がエクセルで、「正しい計算式を組めば、ほしい数字を相手が返してくれる」というイメージです。

エクセルなら、何度計算式を訂正しても「何がしたいのか早く決めて!」などと怒ったりはしません。それどころか、何時間でも、何十時間でも、相手は付き合ってくれます。

しかし、当然ながら、人間はエクセルではありません。

人間には感情があり、「尊重されたい」という欲望を持っています。それが傷つけられると、当然ながら反発してきます。

したがって、ひとに何かを依頼するにも、尊重を示さないと、上手くいかないのです。

 

この点を理解できていなかった私は、当然ながら人間関係トラブルも連発。

仕事にも支障をきたすようになったため、コミュニケーションの上手な先輩を手本にスキル習得に乗り出しました。

 

■対策:表情を身に着ける

・「1発言+1表情」の法則

そこで発見したのが、「1発言+1表情」の法則です。 

これは、誰かとコミュニケーションを取る際、発言と表情を1セットにすれば相手の共感や信頼を得られやすいというもの。

具体的には、このようなかたちです:

 

  • 先輩:お疲れ様です。先日の出張は、いかがでしたか?(+笑顔)

  • 相手:いや~、雪で大変でしたよ

  • 先輩:え~、そうなんですか!大変ですね~(+気の毒そうな顔)

  • 相手:そうなんですよ、本当に困りました

  • 先輩:まだ寒いので、風邪ひかないようにしてくださいね(+笑顔)

  • 相手:ありがとうございます!

 

いかがでしょう?

このように、発言に表情が伴うことで、相手に対し「気遣い」を演出できます。

実際に相手を気遣っているかどうかは、関係ありません。ここがポイントです。それらしい表情であれば、相手は勝手に都合のいい解釈をしてくれるので、精神的な負担の軽減にもなります。

 

・表情の作り方と、発言との組み合わせ

では、表情の作り方もご紹介しておきます。相槌でよく使うパターンは、下記の5つです。

ポイントは、眉、目、それに口の筋肉を少し大げさに動かすこと。

例えば、「喜び」を表現する際は「目が頬に埋まりそう」なくらい頬と口角を上げます。すると、表情豊かに見えるのです。

不慣れな人は、まず鏡の前で練習するといいでしょう。

 

感情 動作 発言
驚き
・眉 :上げる
・目 :見開く
・口 :開く
・えー、
 意外!

 

喜び
・眉 :上げる
・頬 :上げる
・口角:上げる
・嬉しいです
・さすが!
(お世辞)
謙遜
・眉 :寄せる
・口角:上げる
・いえいえ
※褒められて
共感
・眉 :寄せる
・それは大変
 でしたね
不満
・眉 :寄せる
・口角:下げる
・ひどい!
※愚痴に対し

関連本のご紹介

因みに、切り口はやや違いますが、下記の本にも表情の大切さが書かれています。

 

大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック (主婦の友新実用BOOKS)

大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック (主婦の友新実用BOOKS)

 

 

該当箇所:p.92-93「あいさつができない、コミュニケーションがとれない」

※挨拶するときに「ニコッと笑う」ことで、好印象になる、とあります。

 

会話がうまくできなくても、あいさつができれば、まわりの人から受け入れてもらいやすいものです。

という書き出しから始まる本項は、具体的にどう挨拶すればいいかも書かれており、分かりやすく実践に適しています。

アドバイスも当事者目線で、勉強になります。

  

■最後に

先輩を真似て「1発言+1表情」を実践し、数年が経ちました。

最初は、顔のどこをどう動かせばいいか分からず、まるで初期のアンドロイド。しかし、日々の訓練のおかげで、ついに自然な表情が作れるまでに上達しました。

もう、今では「コミュニケーションが苦手」と言っても誰も信じてはくれません。

自分の内面は変わっていないのに、表情だけでこんなにも人の反応が変わるのか!と驚くと同時に、「なんて人間は単純なんだろう」と呆れることもしばしばです。

しかし、表情スキルによって「しなくていい苦労」を避けられるとしたら、覚えておいて損はない。私はそう思います。