「1発言+1表情」であいづち上手に
■「表情は要らない」という思い込み
・表情が作れなかった理由
私は長い間、とても無表情な人間でした。同意や感謝などの感情を、うまく表現できなかったのです。
・表情って必要なの?
もう一つは、そもそも表情の必要性を感じなかったことです。
■コミュニケーションに関する誤解
・仕事でたとえると
これがどういうことか、詳しく説明しましょう。
・「人には心がある」と知らなかった
ふつう、前言を撤回すれば嫌な顔をされるし、こちらも気を遣うものです。・エクセルを使うイメージ
これはちょうど、表計算ソフトのエクセルを使う時に似ています。自分がユーザー、相手がエクセルで、「正しい計算式を組めば、ほしい数字を相手が返してくれる」というイメージです。
エクセルなら、何度計算式を訂正しても「何がしたいのか早く決めて!」などと怒ったりはしません。それどころか、何時間でも、何十時間でも、相手は付き合ってくれます。
しかし、当然ながら、人間はエクセルではありません。
人間には感情があり、「尊重されたい」という欲望を持っています。それが傷つけられると、当然ながら反発してきます。
したがって、ひとに何かを依頼するにも、尊重を示さないと、上手くいかないのです。
この点を理解できていなかった私は、当然ながら人間関係トラブルも連発。
仕事にも支障をきたすようになったため、コミュニケーションの上手な先輩を手本にスキル習得に乗り出しました。
■対策:表情を身に着ける
・「1発言+1表情」の法則
そこで発見したのが、「1発言+1表情」の法則です。
これは、誰かとコミュニケーションを取る際、発言と表情を1セットにすれば相手の共感や信頼を得られやすいというもの。
具体的には、このようなかたちです:
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先輩:お疲れ様です。先日の出張は、いかがでしたか?(+笑顔)
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相手:いや~、雪で大変でしたよ
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先輩:え~、そうなんですか!大変ですね~(+気の毒そうな顔)
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相手:そうなんですよ、本当に困りました
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先輩:まだ寒いので、風邪ひかないようにしてくださいね(+笑顔)
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相手:ありがとうございます!
いかがでしょう?
このように、発言に表情が伴うことで、相手に対し「気遣い」を演出できます。
実際に相手を気遣っているかどうかは、関係ありません。ここがポイントです。それらしい表情であれば、相手は勝手に都合のいい解釈をしてくれるので、精神的な負担の軽減にもなります。
・表情の作り方と、発言との組み合わせ
では、表情の作り方もご紹介しておきます。相槌でよく使うパターンは、下記の5つです。
ポイントは、眉、目、それに口の筋肉を少し大げさに動かすこと。
例えば、「喜び」を表現する際は「目が頬に埋まりそう」なくらい頬と口角を上げます。すると、表情豊かに見えるのです。
不慣れな人は、まず鏡の前で練習するといいでしょう。
関連本のご紹介
因みに、切り口はやや違いますが、下記の本にも表情の大切さが書かれています。

大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック (主婦の友新実用BOOKS)
- 作者: 司馬理英子
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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※挨拶するときに「ニコッと笑う」ことで、好印象になる、とあります。
会話がうまくできなくても、あいさつができれば、まわりの人から受け入れてもらいやすいものです。
という書き出しから始まる本項は、具体的にどう挨拶すればいいかも書かれており、分かりやすく実践に適しています。
アドバイスも当事者目線で、勉強になります。
■最後に
先輩を真似て「1発言+1表情」を実践し、数年が経ちました。
最初は、顔のどこをどう動かせばいいか分からず、まるで初期のアンドロイド。しかし、日々の訓練のおかげで、ついに自然な表情が作れるまでに上達しました。
もう、今では「コミュニケーションが苦手」と言っても誰も信じてはくれません。
自分の内面は変わっていないのに、表情だけでこんなにも人の反応が変わるのか!と驚くと同時に、「なんて人間は単純なんだろう」と呆れることもしばしばです。
しかし、表情スキルによって「しなくていい苦労」を避けられるとしたら、覚えておいて損はない。私はそう思います。