今回は仕事関係の話です。
今度の新入社員は外国人。一体どうやって指導したらいいんだろう。
外国人の採用が増える昨今、このように悩む会社員の方も多いことでしょう。
そこで今回は、私が実際に彼らにOJTを行って得た学びをシェアしたいと思います。
キーワードは、「とにかく褒める」です。
褒めて伸ばそう!外国人の新人
■外国人の採用が増えている
近年、外国人留学生を採用する企業が増えてきました。最新の調査では、7割近くの企業が「大卒外国人の採用経験あり」とのこと。
すごい時代になったなぁ、と感心するばかりですが、これは同時に「外国人を研修する日本人社員が増える」ということでもあります。
下記エントリーでも書きましたが、他人に仕事を教えるのは普通でもかなりの負担。その相手が外国人となれば、さらに大変なことは容易に想像がつきますよね。
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さて、そんな彼らには、指導をする際に気を付けねばならないことがあります。それは、「褒めて伸ばす」ということ。なぜなら、彼らはとてもプライドが高いからです。
詳しく説明していきましょう。
■発展途上国の出身者が多い
誰かを教える時は、相手に合わせたやり方が大切です。それにはまず、相手がどんな人か知ること。
では「外国人の新人」とは、一体どんな人達なのでしょうか?
ひとくちに「外国」と言っても、彼らの出身地は様々です。
直近の実績で言うと中国、東南アジア(ベトナム、タイ、インドネシアが多い)、韓国が上位を占めていますが、私の周囲には米国やインド人も。
ここで気付くのが、「意外と発展途上国からの人が多い」ということ。そしてこのことは、彼らが日本で働くために相当な投資・努力をしてきたエリートだということを示しています。
■選ばれしエリートたち
飛躍に聞こえるでしょうか?
しかし、考えてみてください。
日本企業で働くには、まずビジネスレベルの日本語力が必要です。英語を公用語とする企業なら別ですが、そんなところはごく少数。しかも、日本人と同等に活躍しようとすれば、微妙なニュアンスも理解できるだけの語彙力・理解力が求められます。
ここまで上達するには、当然ながら相当な時間とお金、努力が必要。現地の日本語学校に通ったり、留学したり、かなりの投資をしなければなりません。
そして、こういったことは裕福な家の出身か、努力で奨学金をもぎ取った人にしかできません。つまり、母国でもごく限られた人達にのみ開かれた門戸と言えるのです。
■日本式教育の難点
このように、日本で就職するのはとてもハイレベルな人材。「自分は他とは違う」という自尊心があって、当然ですよね。
ところが、彼らを迎える側の対応次第では、そういった自尊心が傷付けられかねません。なぜなら、私たちは「叱る教育」にどっぷりつかっているからです。
- 上手くできても褒めない
- 失敗したら、トラウマになるまで叱る
- ノウハウは見て学ばせる。具体的に教えない
どうでしょう?思い当たるフシがありませんか?
こういったスタイルに慣れている人は、よほど意識しないと他人を積極的に褒めることができません。
すると、自然と外国人に対しても「叱るばかりで褒めない」というスタイルで接してしまいがち。仕方ないことではありますが、これが彼らのプライドを傷付けてしまうのです。
■上手くいかないと、自分にもデメリットが
すると、様々なデメリットが出てきます。
相手が指示に従わない、頼んだ仕事が遅れがち、やる気が失せる、集中できない…
さらに、困るのは自分にはね返ってくる場合です。
反感を持たれた結果、「研修担当を変えてほしい」と上司に直訴されたらどうでしょう?「ちゃんと指導していない」と思われ、研修する本人の評価も下がりかねません。
一生懸命教えているのに、こうなるとツライばかりですよね。
■だから褒めよう!
こうした理由があるからこそ、外国出身の新人には「褒めて伸ばす」が必要なのです。
具体的には、
- 指示した仕事ができたら「お~、完璧だね!」「さすが!」と大げさなくらい褒める
- もし注意を与えたい時は、必ず別室に移動して1対1になる
「褒め言葉」は、最初は少しためらいます。それは自分が言われてこなかったからですが、徐々に慣れるものです。
また、人前で注意されるのは、誰だって恥ずかしいもの。プライドが高い人なら猶更なので、配慮が必要になるのです。
■いい指導は、最終的に自分を助ける
「なんで新人相手にそこまでしなくちゃいけないんだ」と思う方もいるでしょう。忙しい合間を縫ってのことですから、そう思うのも無理はありません。
しかし、この成果は必ず自分に返ってきます。
指導がうまくいき、早い段階で仕事を覚えてくれる。「自分を尊重してくれるいい先輩」と思ってくれる。こうなれば、きっと相手は自分を進んでサポートしてくれるでしょう。
そして、「うまく育ててくれた」と上司からの評価も高まります。
こういったメリットがあるからこそ、指導には力を入れたほうがいいのです。
というわけで、外国人の新人が入社してきたら、「褒めて伸ばす」を実践してみてはいかがでしょうか?ご健闘を祈ります。

- 作者: 船戸孝重,徳山求大,リクルートコミュニケーションエンジニアリング
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