春、就活の季節ですね。
リクルートスーツ姿の学生を見ると、面接でおかした失敗のことを思い出します。
今回は、そのエピソードと、私が得た教訓の話です。
一方的に話し続けてしまいがちな人には、ぜひ読んでみて下さい。
面接官にキレられないために
■対策
まず、対策からご紹介します。こちらの4点です。
- 聞かれたことにだけ答える
- 簡潔かつ詳細に
- 逆質問は、許可を得てから
- 答えにくい質問には「前置き」を
では、詳しく見ていきましょう。
1.聞かれたことにだけ答える
(「適切な受け答え」がカギ)
一つ目は、「面接官から聞かれたことにだけ答える」ということ。聞かれてもいないことを話してはいけません。
なぜなら、的確な受け答えができない人は、働く能力がないとみなされてしまうからです。
仕事のスキルには色々なものがありますが、中でも「受け答え」は基本中の基本。したがって、これができないと致命的なのです。
(「やる気」は態度で示す)
また、「やる気がない」と思われるリスクもあります。
例えば、上司が「昨日頼んだレポートできた?」と聞いたのに、「いえ、できていません。それより、昨日食べたカレーがすごく美味しかったんです!」と答えたらどうでしょう?とても真面目には見えませんよね。
どんなに頑張る気持ちがあっても、それを態度で示せないと採用してはもらえないのです。
2.簡潔かつ詳細に
また、発言は「概要」+「理由」+「詳細説明」の3点セット。これもポイントです。
例えば、「大学時代はどんな部活動をしたか?」という質問だとこうなります。
発言は、だいたい4つの文に収めるとしっかり聞いてもらえます。それ以上ダラダラ続けると、話の要点がボケるうえ、時間の制約上「まだ終わらないのか」と相手がイライラするので好ましくありません*1。
3.逆質問は、許可を得てから
また、むやみに逆質問をするのは控えましょう。もし質問したいことがあっても、それは「何か聞きたいことはありますか?」とオファーされてから。
これは、先方の都合(質問内容、時間配分など)を無視して質問攻めしてしまうと「非常識」な印象を与えかねないためです。
また、万が一質問タイムを取ってもらえない場合には、面接が一通り終わってから「恐れ入りますが、いくつか伺いたいことがあります。まだお時間はよろしいでしょうか?」と許可を得ましょう。
4.答えにくい質問には「前置き」を
最後に、「相手が答えにくい質問」をする際は、必ず前置きをするようにしましょう。
具体的には、こういった質問です:
- 離職率(高いほど働きづらい環境だから)
- 平均年齢(低いほど若手の退職が多いから)
- 売上の増加ペース(業績が悪い場合、知られたくないから)
この場合、下記のように言ってから本題の質問をすることで、相手の気分を害するリスクが減ります。ぜひ使ってみてください。
- こういったことは伺っていいのか分かりませんが…
- 少し伺いづらいのですが…
■私の失敗エピソード
では、こういった教訓を得るに至った経緯についても書いておきます。
私は、今でも忘れられない手痛い失敗をしてしまいました。
私は修士課程2年の時、論文執筆の合間に就職活動をしました。
正直、そこまでモチベーションは高くなかったのですが、運良く書類審査に通り、ある有名企業の面接に進めることとなったのです。
まだ自分のソーシャルスキルの低さに気付いていなかったため、全く何の対策もとらず、「真面目に受け答えすればいい」と気楽に構えていました。
・1回目の面接は失敗
なお、それ以前にも一度だけ面接を受けたことがあったのですが、不採用に終わりました。
こちらは一生懸命質問に答えたつもりですが、相手は終始無表情。おそらく、私が突拍子もない逆質問ばかりしていたからだと思います。
空気も読めず、就活マニュアルの「こんな質問をしよう!」コーナーを意味も分からぬまま鵜呑みにし、突拍子もない質問を繰り返す。こんな学生を採りたい企業など、なくて当然だったのです。
・当日のこと
さて、話を戻します。
面接の当日、私は緊張しながら会場のドアを開けました。すると、だだっ広い会議室に、長机が「ロ」の字型に配置されていました。私と面接官は、ちょうどその向かい合った席に座り、面接が始まりました。
自己紹介、大学院での研究内容、そして志望動機を順当に回答。ここまではかなりスムーズだったため、気が緩んだのかも知れません。
続く場面で、私はミスをおかしたのです。
・我を忘れて質問連発
話を進めるうち、面接官がご自身が大切にしている心構えを語って下さいました。
私にはそれがとても興味深く、身を乗り出して聞き入りました。そして、ここが面接の場だということも忘れ、矢継ぎ早に質問を繰り返したのです。
社内での人脈形成はどうしたらいいですか?チームの雰囲気は?どんな研修をされますか?…
相手は丁寧に答えて下さったものの、いつしか本筋を大きく逸れ、そして「その時」が訪れました。
・面接官の怒り
「君は、一体何をしに来ているんだ!!これは面接だ!」
いきなりの怒声に、体がビクッとなりました。
「私が制止しなければ、君はいつまでも関係ないことを話し続けていたはずだ!いい加減にしたまえ!!」
ハッと我に返りました。そこには、怒りで形相を変えた相手の姿がありました。
面接は、そこで終了。後日不採用の通知が届き、私は自分をコントロールできない悔しさと悲しさで何度も泣きました。 そして、今に至るまで、この時のトラウマは鮮烈な映像として私の脳に残っています。
・思いがけぬ励まし
ただ、意外なこともありました。面接官から励ましの言葉を掛けられたのです。
「そういう部分があることは、事前に伺っていました。私も、実は似た境遇です。これから頑張ってください。」
怒声を上げた時とは一転、とても穏やかな声でした。
私とは別の国立大学出身だという、この面接官。もしかしたら、同じようにコミュニケーションに悩み、周囲からの誤解を受けながら、苦労して出世されたのかも知れません。
そう思うと、あの時の恐ろしい表情にも、別の側面を感じてしまうのです。
以上、就活での心得でした。
*1:なお、手元の資料や時計に目をやるのが、相手の集中力が切れてきたサイン。こういった仕草が出てくる前に、話を切り上げましょう。