かぴ子さんの記事を拝見し、思い出したことがあります。
実は、私はとても多動な子供だった、ということ。
今回は、そのお話です。
多動だった子供時代
一見、落ち着いていたものの
今でこそかなり落ち着きましたが、子供の頃はじっとしているのが苦手でした。
とは言っても、授業中に席を立つとか、 突然大声で話し出すといったことではありません。むしろ逆で、ちゃんと着席し、一見まじめに授業を受けているように見えたでしょう。
でも、頭の中では無関係なことばかり考えていたのです。
授業中の落書き、妄想
例えば、国語の授業。
教科書の作品って、たいてい最後に作者の肖像がありますよね。
この部分、私はいつも落書きだらけでした。
肖像だけじゃなく、どのページも余白を見つけては絵で埋め尽くしました。教科書では足りず、消しゴムやノートもまっ黒け。
だから、横の子が教科書を忘れた時は、とても気まずかったです。こんなぐちゃぐちゃなものを見せるのはなぁ…と。
そして、授業は基本「妄想タイム」。
板書を一通り写し終えたら、大体のことは頭に入る。だから、次のターン(先生がまた書き終える時)まで脳内劇場を楽しんでいました。
家族とのつらい思い出
ただ、成績優秀なこともあって学校では何も言われませんでしたが、ツラかったのは家でのこと。
親は私の多動ぶりに疲れ切り、時にはひどく叱られることもありました。
家族旅行での出来事
よく覚えているのは、ある海水浴の日の晩のこと。
私ときょうだい、そして両親の4人で、浜辺を散歩していました。手には、花火セットと、水の入ったバケツ。これで遊ぶ場所を探していたのです。
20年経った今でも、ビーチサンダルの指に滑り込んでくる砂の感触や、キャラメルに似た浜辺の匂いをありありと思い出すことができます。
私は、母の隣を歩きながら、好きなテレビドラマの感想をまくし立てていました。あの主人公はどうだ、来週はこんな展開になるかも、などということを、延々と喋り続けていたのです。
決して、それが伝えたくて仕方なかったというわけではありません。むしろ、家族と一緒にいて、でも何を話せばいいか分からない気まずさ。それを紛らわすため、口を動かし続けていたという方が正確です。でも、私には、その気持を伝える術がありませんでした。
そして母は、私に厳しい顔を向け、「もういい加減、やめなさい!」と言いました。
その時の口調、眉間に険しく走る皺。私は、未だに忘れられません。
TVの批評
また、家族でTVを見ているときのこと。
私は、どんな番組でも、それに対してコメントせずにはいられないクセがあります。自分ではその欲求を抑えきれず、いつ止めていいのかも分からないので、喋り続けてしまう。今はマシになりましたが、子供の頃はかなり酷かったと思います。
そして、そんな時、父は苦々しい顔で「もう批評はやめろ!聞きたくない!」と言う。他の家族は黙っていましたが、きっと同じことを思っていたのでしょう。
私はそんな時、自分自身をコントロールできないもどかしさと、親にありのままの言動を受け入れてもらえない切なさで、涙をこらえ、俯きました。
いま思うこと
私のきょうだいにも、少し似た部分があります。角ばって一本調子にまくし立てる口調など、そっくり。でも、私が叱られるのを見ていたせいか、親の前でヘマをすることはありません。これが、上の子の失敗から学ぶ、ということなのでしょうね。
多動。
その当時、親がこの言葉を知っていたら。
あんなにイライラせず、私を受け入れられたのかも知れません。
楽しい家族旅行を、嫌な思い出で汚さず済んだかも知れません。
自分が子育てする側になり、授乳中に落ち着きなくあちこち目をやってしまう我が子を見ると、 「この子も同じだろうか」「私も親のように、手を上げたり拒絶したりするのだろうか」と不安になります。
少なくとも、何十年も残るトラウマを、この子には与えたくない。その一心で、毎日子供に接しています。

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