こんにちは、
皆さんは、「OJT(On-The-Job Training)」を受けたことはありますか?
いまや職場の新人研修で、主流となった方法ですよね。
しかし、中にはこの方法が合わず、苦労している方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、発達障害傾向の当事者から見た「OJTの問題点」について、書いてみたいと思います。
OJTが向いてない!
■OJTとは?
OJTとは「外部研修ではなく、実務を通じてスキルを身に着けていく職場訓練方法」のことです。
雑な言い方をすると、着任早々いきなり現場に放り込まれ、先輩から少しずつ仕事を教わっていくというものです。
もちろん、この仕組みを充実させ、即戦力を養成している企業もあるでしょう。
ただ、私が受けたOJTは、今思えばとてつもなく自分に合わない方法でした。
というのも、必要な知識を「見て学ぶ」必要があったからです。
■体系的に学べないしんどさ
・業務フローの説明がない
これは、仕事を体系的に学べなかったことが原因です。
どの仕事も、それを完了させるにはいくつものステップがありますよね。
例えば、「受注した商品を出荷する」という業務では、
- システムに受注内容を登録する
- 在庫を引き当てる
- 配送先を確認する
- 配送の手配をする
- …
- …
- …
- …
- …
- 出荷完了
といった細かいタスクが生じます。
OJTの現場では、これら一つひとつに関して「今日は1、明日は4、その次は9」という風に、各ステップをコマギレに教えてもらうことが多かったです。
・特性と合わない
しかし私の場合、これが大きなネックとなりました。
なぜなら、私には「順を追って説明してもらわないと理解できない」という困りごとがあるからです。
そのため、本当は最初に1~10の流れを説明してもらい、頭に叩き込む必要があったのですが、実際にしてもらったのはその真逆。
しかも、各タスクのゴールさえ、はっきりとは教えてもらえませんでした。
そのため、個々のタスク同士の関連さえ、ずっと理解できないまま。いわゆる「点と点が線で繋がらない」状態です。
ただ、当時は自分に発達障害の傾向があるとは知らず、単に「自分の理解が足りないからだ」と一人で悩むことになりました。
・「言わなくてもわかるはず」という誤解
さらに私を苦しめたのは、「言わなくても分かるでしょ?」というプレッシャーです。
個別のタスクについては詳しく教えてもらえたものの、「タスク間の関連性」「仕事の最終目標」などは、言語化してもらえないことが殆どでした。
こういった部分は、自分にとって想像すら及ばないもの。
そんな中、一度思い切って「この作業をする意味は何ですか?」と質問をしたことがあるのですが、
「え…そんなの普通に考えたら分かるよね?」
と驚かれてしまい、とてもそれ以上質問できない雰囲気になってしまいました。
どうも「1言えば10分かる人」のほうが多いため、私も当然そうだと思われていたようです。
・「学歴」への偏見も
また悪いことに、周囲が私の「学歴」に対して抱いていた偏見も、こういった誤解に繋がっていました。
私は国立大学・大学院を卒業しているのですが、そのために「理解力が高いはず」と思われていたのです。
確かに、学歴は偏見を生みやすいものですが、冷静に考えれば新人が仕事フローを最初から熟知しているはずがないのは当たり前。
ところが、不思議なことに、こういったことが高学歴の前では「例外」になってしまうのです。
こういったことが重なった結果、同期が3ヶ月で仕事をマスターする一方、私は何と3年も掛かってしまいました。
■相手にあった教え方が必要!
・企業側へ求めるもの
このツライ経験を踏まえると、どうしても今のOJTのあり方には疑問を感じざるをえません。
企業側はその人に合った教育方法が必要なことを理解し、また教育する側にも「柔軟な教え方」を可能にする研修が必要だと感じます。
もちろん、会社としてはコストを最小限にしたいでしょうし、教育担当が指導に時間を掛けたくない気持ちも分かります(自分も経験者なので)。
それでも、人によっては「コマギレ指導」よりも最初に「ツメコミ(=体系的知識の暗記)」をしたほうが、断然覚えが速い場合だってあるのです。
このことは、ぜひ知っておいてほしいと思います。
・教えられる側も、意思表示を!
そして、教えられる側の人へ。
もしこの記事を読んで「自分も同じだ」と思ったら、ぜひ指導者に意思表示してほしいのです。
少し勇気は要りますが、
「恐れ入りますが、仕事の全体像が理解しづらく困っています。
最初に"全体の流れ"を掴んだほうが分かりやすそうなので、
お手数ですが、仕事のフローを教えて頂けないでしょうか?」
と伝えてみてはどうでしょう?
私のような苦労をする人が、少しでも減ることを祈ります。