発達障害傾向ですが、「営業」できました。

発達障害の傾向がある元・営業が、「人並み」に働くための仕事ハックと「生きづらさ」に向き合う日々を書いています。

「想定外」でパニックになってしまう問題

こんにちは、Katieケイティです。

今回は、「想定外の事態でパニックになる」という問題について書きたいと思います。

あなたの身近にも、信じられないくらい些細なことで怒り出す人がいるかも知れません。実は、私にもそんな傾向があるのです。

想定外でパニックに

■どんな状態か?

私を苦しめてきた「パニック」症状。それは一体何かというと、

  • 想定外の事態が起こると、突発的に激しい怒りに支配される
  • 自分がコントロールができなくなり、怒りに任せた行動を取ってしまう

というものです。

例えば、つい先ほどまでニコニコしていたのに、突然人が変わったようにキレて周囲を困惑させてしまう。これが、私の困りごとなのです。

 

■定型発達の場合との違い

しかし、発達障害でなくても「思いもよらない出来事で頭が真っ白になる」ことはありますよね。

ところが、定型発達の場合と比べると、大きく違う点が2つあるのです。

それは、

  1. 頭が完全に「怒り」に支配され、周りが全く見えなくなる
  2. その結果、社会的立場や人間関係に大きな支障をきたす

ということです。

 

・怒り>>>理性

人間には理性があるため、どんなに不愉快でも「いま怒ったらマズイ」「ここは我慢しなければ」と抑制が働きますよね。いわば「保身」です。

例えば、相手が上司や顧客なら、いくら頭に来てもグッと耐えられるでしょう。そうでなければ、自分の立場が危うくなってしまうからです。

ところが私の場合、その「保身」機能がうまく働きません。一旦パニックになると、自分の置かれた状況を忘れ「怒り」に支配されます。そして、相手が誰であろうと、食って掛かってしまうのです。

 

・弊害

すると、当然ながら対人関係は悪化。場合によっては、友人や理解者、そして仕事すらも失ってしまうリスクがあります。

例えば、私は「お気に入りのものを家族に勝手に使われた」「ミスを非難されたが、実は上司の思い違いだった」などでキレたことがありますが、どちらも相手とトラブルになってしまいました。

このように、社会生活に大きな支障をきたしかねないのが、この困りごとの怖いところなのです。

 

・対策が立てづらい

そのうえ、一層悩ましいのが「対策が立てにくい」というところです。

私の困りごとには、大抵すでに対処法があるため、何とか定型発達と遜色ない暮らしができています。

ところが、「想定外」の出来事に対してはそうはいきません。いつ・どこで・どんな風に起こるか予測できないため、まず心の準備ができません。それに、毎回違うことが起こるため、「個別の経験をパターンに落とし込み、共通の解決法を編み出す」という、対策を考える上で不可欠なプロセスが踏めないのです。そのせいで、似たような失敗を何度も繰り返してしまうのです。 

 

■パニック時の心理状態

では、パニックに陥る際の心理状態はどんなものでしょうか?私の場合、頭の中でこのようなことが起こります:

  1. (前提)もともと柔軟な対応が苦手
  2. 想定にない場面にはどう対処していいか分からず、困惑する
  3. 困惑が「被害者感情」を喚起する
  4. 被害者感情が「怒り」に変わる
  5. 怒りに支配され、理性を失う

 

■原因

根本的な問題は、「柔軟な対応ができない」ことにあります。自分が「こうなるだろう」と想定していること以外はまったく念頭にないため、想定外に出くわした時にギャップを上手く処理できません。その結果、頭がショートしてしまうわけです。

しかも、1つの想定外を何とか切り抜けたとしても、その時に得た教訓を次の想定外に活かせるとは限りません。「その場の状況」と「取るべき対応」とを1対1でしか頭にインプットできないためです。

必然的に、毎回同じように動揺し、パニックにならざるを得ないのです。

 

■どんな対策をしているか?

・想定外を「想定」する

しかし、いくら対策が取りづらいと言っても、ある程度コントロールしなければ社会で生きていくのが困難です。

そのため、私は下記のような予防策を立て、極力「感情の爆発」を避けられるよう努力しています。

  • 何かに臨むときは「想定外は絶対起こり得る」と自分に言い聞かせる
  • 事前に予想される「想定外」をリストアップしておく
  • 怒りがこみ上げて来たら、「不愛想になるのは仕方ないが、キレてはいけない」と自分に言い聞かせる
  • 理不尽な相手には、「この人も私と同じで、人との接し方が分からないのかも知れない」「ストレスが溜まって、本人もツライのかも知れない」と思うようにする

 

・仕事が訓練になった 

また、私は外国人と仕事することが多かったのですが、そのお陰でたくさんの「想定外」に出会えたのも有り難いことでした。

海外には、日本人の価値観とは真逆の人がたくさんいます。

  • 期限を守れない
  • 嘘ばかり言う
  • まじめに仕事してるように見えない

などなど*1。 

初めは「何でこんなこともできないんだろう」とイライラするばかりでしたが、長い間彼らと接していると、嫌でも受け入れざるを得ません。これは自分の理想への固執を解くうえで、かなり効果的な訓練となりました。

 

■現在の状況

こういった対策を経て、以前よりはだいぶキレる回数が減りました。そのお陰で、ストレスや自己嫌悪も随分軽減されています。

ただ、それでも忘れた頃にやってくるのがこの症状の困ったところ。どんなに努力しても完全に克服できないところが障害の障害たるゆえんでしょうし、きっと一生の付き合いになるのでしょう。

自分としては、時折襲ってくる「想定外」を修行のつもりでがっぷり受け止め、時にはかわし、失敗を繰り返しながら前に進むしかないのだと思います。

 

以上、想定外でパニックになってしまう問題でした。

*1:これらは、飽くまで「日本人から見たら」です。彼らには彼らなりの正義感があり、仕事を立派に果たしておられます。むしろ、事実を100%事実のまま言ったり、休憩も取らず、時間通り真面目に仕事をするのは、日本人くらいじゃないかな?とすら思えます。どちらが優れている、という単純な話ではなく、それぞれの文化圏にあったやり方があるわけで、それはそれとして受け入れるしかありません。逆に、彼らから学ぶことも多いと私は思います。