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知能検査「WAIS-Ⅲ」と私—結果、受診のきっかけ、人生への影響

WAIS-III 知能検査 結果

WAIS-IIIを受診したことで、前向きになれました

こんにちは、Katieケイティです。

皆さんは、「WAIS-III(ウェイス・スリー)」という言葉を聞いたことはありますか? 

発達障害の診断に使われる「知能検査」の一種です。

「すでにクリニック等で受けた」という方も、いらっしゃるかも知れませんね。実は、私も数年前に受けました。

そこで今回は、私の検査結果、受診のきっかけ、そしてその後の人生への影響ついてお話したいと思います。受診を迷っている方のヒントになれば幸いです。

WAIS-IIIと私

■どんな検査?

・概要

まず、初めて「WAIS-III」を知った方のために、ごく簡単な説明をさせてもらいます。

この検査は、「知能の発達」の度合いを、下記の3つの指標で割り出せる検査です。

  • 言語性IQ(VIQ)・・・単語や概念への理解力
  • 動作性IQ(PIQ)・・・状況変化への柔軟性
  • 全検査IQ(FIQ)・・・上記2つを総合してのIQ

VIQとPIQの測定をするために、被験者はいくつもの小さな「テスト」を受ける必要があります。

そして、これらのテスト自体も一定のグループに分かれており、そのスコアは「情報の処理速度」「言語理解」などといった能力の指標として評価されます。

 

・受ける側のメリット

こうしたことから、WAIS-IIIを受けるメリットとしては「自分の能力のバランス」を把握できる点だと言えます。

例えば、もし「視覚情報の処理が苦手」という結果が出た場合、その部分をカバーするための対策を考えることができます

また逆に、自分の得意分野を知ることもできるので、「自分はこの能力を活かせばいいんだ!」と気付くきっかけにもなるのです。

より詳しい情報は、クリニックのドクターに聞いてみて下さいね。

 

・所要時間

なお、私の場合、検査自体には「2時間」程度かかりました。

臨床心理士の先生と1対1で、質問と回答をひたすら繰り返す形式でした。

ただ、1問でも多く正答しようと全身全霊で臨んだため、終わる頃にはヘトヘトになっていたのを覚えています。

 

・待ち時間 

また、検査を予約してから実際に受けられたのは、およそ「1か月後」でした。

最近は、子供だけでなく大人の受験希望者も多いことから、もっと待つ場合もあるとのこと。さらに、受験後に結果が出るまでにもさらに「1か月」程度かかりました。

こういったことから、「今すぐ受けたい・今すぐ知りたい」というのは、なかなか難しいかも知れません。

 

WAIS-IIIの結果

■IQ

さて、そんなWAIS-IIIですが、私自身の結果はこんな感じでした。

(IQ)

  • VIQ:131
  • PIQ:98
  • FIQ:118

 (下位検査)

  • 言語理解:138(極端に高い)
  • 知覚統合:98(平均域だが、言語理解との差が大きい)
  • 動作性検査では項目ごとのバラツキが大きく、特に「絵画完成」が低い

ご覧のとおり、VIQとPIQの差は33とかなり大きく、一説によれば「認知障害」の目安に入るレベルです*1

 

■ドクターのアドバイス

また、私が受診したクリニックでは、数値結果と合わせて「日常生活でのアドバイス」も頂くことができました。

私の場合、こういった内容でした。

  • 新しいことを学ぶ際は、いきなり「実践」するよりも、あらかじめ「理論」を頭に叩き込んでからの方が上達が早い
  • 物忘れが激しいため、メモやリマインダーで「忘れてもいい環境」を作ったほうがいい 等々

こういったアドバイスは、普段自分が実践していた行動とは真逆だったため、目からウロコが落ちた気分でした。今でも、これらのアドバイスはとても役立っています。

 

■診断にはハードルが

・生育歴の記録なし

(診断基準)

ただ私の場合、知能の凹凸は大きいものの、発達障害と「診断」されてはいません

これほどアンバランスにもかかわらず、なぜ私は「発達障害」の診断を受けていないのか。ドクターは何も語ってはくれませんでしたが、私にはいくつか思い当たる理由があります。

まず、発達障害の診断を下すには、知能検査だけでは不十分であり、実際には生育歴を丹念に辿る必要があるそうです*2

しかし、幼少時の記録が残っていないため、「子供の頃どんな様子だったか」を客観的に知る術はほぼありません。親の記憶もあやふやです。

 

(記録がない理由) 

ちょっと驚かれそうですが、記録が残っていないのにはこんな理由があります。 

「母子手帳」や保育園との「連絡ノート」は、多くの場合親が大切に保管していると聞きますが、うちの場合はどれもすでに紛失しているからです。

もともとタンスに保管してあったのですが、きょうだいが多く、1人が巣立つたびに同じタンスを別の子が使ったため、荷物の入れ替えの時にどこかに行ってしまったのです。

しかも、親は幼少時の私の様子に問題意識を感じていなかったため、質問しても具体的なエピソードを引き出すことはできません。 家族や親戚にも似たような人間が多数おり、「違和感はあったが、"遺伝だろう"と思っていた」と言っています。

残念でなりませんが、当時の環境や情報の少なさを思うと、親を責めるのも酷な気がします。

 

・症状顕在化の年齢

さらに、発達障害の診断基準には、症状が「18歳まで」に顕在化している必要があるそうですが*3、これも大きなネックです。

何故かというと、「周囲とのトラブル」が出始めたのは小学校時代だったものの、それを示す証拠は「私の証言」以外にないからです*4

また、本格的に問題が顕在化し「普通の生活が送れない」状態になったのは、大人になってからのこと。従って、18歳までに強い「困り感」があったことを、客観的に証明できるものがないのです。

 

・もはや「もともと」の姿ではない

その上、問題を自覚してからクリニックを受診するまでの間に、すでに何年もかけてコミュニケーション方法の改善などに取り組んでいました

そのため、受診の時点では「もともとの様子」が見えにくくなっていたはずです。

しかし、それでも私が「自分に発達障害の傾向がある」と考えるに至った理由は、実際に生活や仕事に大きな支障があり普通のくらしが難しかったこと、そして「アスペルガー症候群の診断基準」に当てはまる点が多かったためです。

これについては、下記の記事で詳しく書いています。

blog.xn--katiefue-i64mq8yc0vjo7eeitdhns.com

 

■受けたきっかけ

・破滅的なトラブル

では、そもそも私はなぜWAIS-IIIを受けようと思ったのでしょうか。次は、そのことについて書いてみたいと思います。

WAIS-IIIを受けたきっかけ。それは、「人間関係でのトラブル」でした。

「トラブル」というと軽く聞こえそうですが、実際にはその職場に居続けるのが難しいぐらいの、破滅的なものでした。

実は、私はそれまでに何度も顧客や同僚と衝突しており、関係は良好とは言えませんでした。その都度、担当先やパートナーを変えて対応したりしていましたが、本質的には「相手との相性の悪さ」が原因だろうと考え、自分の中に問題があるとは考えていなかったのです。

しかし、今回の場合は、状況が違いました。

 

・異口同音の「否定」

それまでのケースは「1対1」での問題が殆どだったのですが、この時は上司や他の同僚も巻き込んでの大騒動となってしまいました。

そして、大勢の人から異口同音に「思いやりがない」「失礼だ」「あなたは考え方がおかしい」と非難されたのです。

当然、自分の立場も非常に悪くなり、仕事上で誰からも協力が得られない状況となってしまいました。

 

・露骨な「拒否」

目を合わせてもらえない。相談に行っても「知らない」と拒否される。挨拶も無視。

中には、私がミスをした途端、全員の前で大声で罵倒し始める先輩も出てきました。しかし、他の人はみな、あたかもそこに誰もいないかのように、平然と仕事を続けていました。いま思えば、「パワハラ」に近い状態だったと感じます。

「理性的な大人」とされる人々が、こうも露骨に嫌悪感を表すということに、私は衝撃を受けました。

しかも、私自身はごく真摯に対応したつもりだったため、なおさらショックでした。

 

・体調悪化

こんな出来事が続き、私は次第に「仕事に行くのがツラい」と思うようになりました。そして、体調の異変にも見舞われました。

 

  • 全身がだるく、朝起きるのもやっと。
  • 出社ギリギリまで横になっていないと、到底歩けない。
  • 食事も、食パンを一口、コーヒーで流し込むのが精いっぱい。

 

以前を発症した時にも経験した、こういった症状が、毎日続くようになりました。

 

・過去を思い出し

そして、そんな日々の中、私はこれまでに経験した人間関係のこじれ*5や、患った数多くの精神症状を思い出しました。

 

チック症状、吃音、脅迫神経症(手を何度も洗う、家の鍵を何度も確認する 等)、摂食障害、鬱、リストカット等々…

 

これらは小学校1年の時に始まり、思春期に一気に悪化して、いくつかは社会人になってからも続いているものでした。 

さらに、自分がずっと「理由ははっきり分からないけれど、なぜか生きづらい。あらゆるものがストレス」という苦しさを感じていることについても、改めて考えることになりました。

 

・受診を決意

こういった「全身を覆う苦しさ」は、物心ついた時から私を追い立ててきました。

他の人の人生を経験したことがないため、はっきりしたことは分かりませんでしたが、それでも私はこう思いました。

 

  • 「常時そんなストレスを抱えていることは、果たして"正常”と言えるのか?
  • 「もしかしたら、知能に問題があるのではないか?」 
  • 「こんなに苦しむ原因を、はっきりさせたい

 

そして、知能検査を受けようと決意したのです。

 

■人生への恩恵

そして、受診後の結果を受けて、私の人生は明らかに好転し始めました。

ここからは、その後自分自身にどのような影響があったか、詳しく書きたいと思います。

冒頭でも述べたとおり、WAIS-IIIには自分の特性を把握できるという利点があります。

しかし、これは同時に「自分の知能の凹凸」をも知ることになるため、「周囲に比べて"苦手"な部分を、現実として突きつけられる」ということでもあります。そのため、人によっては「知るのが怖い」と思われるかも知れません。

また、家族に検査を勧めたくても、「本人がショックを受けるのでは」とためらう方がいるのも事実です。

そういった方のために、自分の経験をお伝えできたらと思います。

 

・「上手くいかない理由」が納得できた

まず嬉しかったのが、「今までの人生が"上手くいかなかった"理由」がはっきり分かったことです。

それ以前は、何となく「人付き合いで苦労しがち」とは思っていたものの、自分の「認知」の仕方に特徴があることには全く無自覚でした。

そのため、「自分は他の人と同じ方法で仕事を覚えられるはずだし、相性が良ければ人と上手に付き合えるはず。なのに、なぜ上手くいかないの?」と歯がゆく感じていました。つまり、「自分はマジョリティ」だと信じていたのです。

しかし、検査によって、これらの困りごとが「知能の凹凸」によるものだと分かりました。

それにより、目の前の霧が晴れ、あらゆることが腑に落ちました。この「納得感」を得たことで、私は「前向き」になることができたのです。

 

・「凹」をカバーする対策が可能になった

そして、知能の「凹凸」の「凹」に当たる部分がはっきりしたことで、そこをカバーする対策を取れるようにもなりました。

理由が分からないものには、どう対策すればいいのか分かりませんよね。

でも、 明確に「何が問題か」が分かっていれば、それを解決するための方法を考えればいいのです。

とてもシンプルなことですが、分析や研究が得意な自分にとってこのことは

 

  • 「絶対、上手く生きられるようになってやる
  • 「人間を分析し、周囲と協調できるようになってやる

 

という意欲を掻き立てるのに十分でした。

  

・人と笑顔でコミュニケーションが取れた

そうやって人の言動を分析・研究し、トライ&エラーを重ねた結果、巡ってきたのは「人と笑顔で話ができる」という夢のような瞬間でした。

こんな風に言うと、殆どの人は「大げさな」「言い過ぎもたいがいにしろ」と思うことでしょう。

しかし、私は子供の頃から「口を開けば睨まれる」という状態が30年近く続いていました。家族も、友人も、仕事関係の人も、私の言動に眉をひそめては黙ってしまう。これが「たまに」ではなく、「毎回」なのです。

そんな私にとって、「人と笑顔で話ができる」というのは、「真っ暗な地平線に初めて太陽が昇った」と思えるぐらい幸せなものでした。

その時は、先輩とのごくつまらない世間話ではありましたが、笑いながらにじみ出てくる涙を必死でこらえたのを覚えています。

 

■最後に

いかがだったでしょうか?

自分の知能特性を把握できたことで、人生が上向く場合もあるという、当事者の体験談でした。

ただ、もちろん、WAIS-IIIで自分の苦手を克服しても、「全てが思い通りの完璧人生」が完成したわけではありません。

私の場合、コミュニケーション能力は定型発達(発達障害でない方)レベルに近づけることができたものの、根本的な問題はまだ残っています。それは、「予想外の事態にパニックになり、感情の爆発を抑えられなくなる」ということです。

これは、過集中のように「長所」と割り切ることもできず、また対策も立てにくいものです。しかも、場合によっては人間関係を一瞬で破壊しかねない危険性もあります。

そのため、いまだに解決の方法を探っている段階です。これについては、また別の記事で触れたいなと考えています。

 

以上、「WAIS-IIIと私」でした。

*1:認知障害の目安として、VIQとPIQの差を25〜30点程度とする説があります。ただし、点差だけによって認知障害を断定するのは適切ではないとのこと。

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村上宣寛・村上千恵子(2008)「改定 臨床心理アセスメントハンドブック」北大路書房、p.96

*2:

clinicalsup.jp

「生育」の項に、必要な資料の例が列挙されています。2018/11/16閲覧。

*3:

adhd.co.jp

2018/11/16閲覧。

*4:「過集中」で授業をすっぽかした際は、さすがに親が担任に呼び出されましたが、その時ですら親は何ら問題視していませんでした(下記記事参照)。また、深刻な「イジメ被害」にも遭いましたが、担任が事実をどの程度把握していたかも不確かなうえ、ましてや親に情報共有していたかも不明です。担任も親も、私に対してほとんど「声かけ」や「ケア」はしていなかったからです。

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*5:

幼少時から学生時代のエピソードについて、下記の記事で触れています。

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