年末からしばらくブログをお休みしていましたが、実はこの間に出産していました。今は育児で疲労困憊の毎日です。
出産は当ブログの本筋とは関係ありませんが、発達障害傾向の当事者として教訓に満ちたものでした。そのため、備忘録もかねて学んだことを書いてみたいと思います。
私を縛ってきた固定観念が、大きく揺るがされる。そんな大きな出来事でした。
こんなに大変だったとは~妊娠&出産の実際~
■偏見と現実
・「当たり前」だと思っていたが
妊娠・出産を経て驚いたのは、女性にとってあまりに負担の大きい仕事だということです。
私は非常に思い込みの強い人間で、他人の言うことを鵜呑みにして生きてきました。
彼らは常々「女は子供を産んで当たり前」と言っていたので、私もそれが常識と思っていました。結婚についても、「好きな人と生きていくため」ではなく「子供を作るため」だと思っていたくらいです。
ところが実際に子供を産んでみると、全然「当たり前」ではない大変さに打ちのめされました。
・実際のところ
では、一体どう大変だったのか?自分の「偏見」と「実際」を具体的に書いてみたいと思います。
1.つわりは大したことない→寝たきりになるレベル
最初にショックを受けたのが、「つわり」のしんどさでした。
私の場合、妊娠が分かってすぐつわりが始まり、「吐き気」と「ニオイづわり*1」が2か月以上続きました。分かりやすく言うなら、寝たきりになるくらいの二日酔いが毎日続く感じです。
その間、まともに料理も食事もできず、柔軟剤や石けんの香りでひどい頭痛。また、スーパーに行けば食べ物のニオイで毎回
周囲の女性は誰一人つわりを経験していなかったので、「自分も大丈夫」と思っていたぶん不意打ちを食らった恰好です。
2.妊婦に優先座席って必要?→必要!
次にびっくりしたのが、「妊婦は切実に優先座席を必要としている」ということです。
それまで妊娠中の体調については全く知らなかったため、正直「なんで席を譲る必要があるんだろう」と思っていました。
が、実際に妊娠してみて納得。常にどこかしら具合が悪いため、立ちっぱなしがとてもツライのです。
実際に何度か席を譲ってもらいましたが、相手が「神」に見えるくらい有り難いです。
補足:体調の変動
なお、体調は毎月変化しましたが、私の場合「妊娠8か月目以外」は常に具合が悪かったです:
- 初期~ :つわり
- 5か月~:腰がグラグラで歩きづらい
- 6か月~:歩行時の息切れ
- 7か月~:胃が圧迫され食べるのがツライ
- 9か月~:下肢のひどいむくみ、耳管開放症の悪化*2
- 10か月:お腹の張り(=子宮の収縮による痛み)で一睡もできない
特に意外だったのが、6か月目の「息切れ」です。
ふつうの道が急斜面に思えるほど、あらゆる坂や段差がツラくなりました。一歩一歩がまるで鎧を着たように重く、息苦しいのです。
この症状は全く聞いたことがなかったので、まさに「寝耳に水」でした。周りの女性はみな車生活なので、経験していないのかも知れません。
誰も敢えて「妊婦に席を譲る必要性」を説明してくれませんが、これはぜひ子供にも教えたいと思います。
3.出産ってそんなにしんどいの?→死ぬほどしんどい
そして、最も衝撃的だったのが、出産の大変さです。
これまで何度も「子供を産んだら強くなる」「そんなの出産に比べたら全然マシ」と言われてきた私は、正直「何の権限があってそんなエラそうに」と反感を持っていました。先輩風を吹かせる彼女たちが、不快ですらありました。
が、実際出産してみると、彼女たちが死ぬか生きるかの瀬戸際のしんどさを耐えてきたのだとよく理解できたのです:
- 陣痛で腰が割れそう
- 「いきみ感」は自力で耐えられる限界を超えてくる
- 逃げたくなるような痛みを我慢し続けても、子宮口は1時間に1cmしか開かない(これを10cmまで耐える)
- 途中で心が折れ、子供が欲しいと思ったことを後悔
- 何度いきんでも出てこず、精魂尽きかける
この苦しみを経験した今、子連れのお母さんを見るたびに「お疲れ様でした」と静かに念を送っています。「産んで当然」なんて、軽々に言うべきじゃない。そう痛感しました。
4.立ち合い出産って必要?→立ち合いじゃなきゃ無理だった
あと、これも言わせてください。
立ち合い出産は、精神的というよりむしろ「実務的側面」で必要です。
それは何故かと言うと、
- いきみ逃しのテニスボール*3には男性の腕力が要る (女性看護師も手伝ってくれたが、力が弱い)
- 買い出しや食事のサポートは看護師に頼めない(陣痛は莫大なエネルギーを食うため、カロリー補充が必須*4)
- その他、看護師に頼みにくいことが多すぎる(両親・親戚の応対やこまごまとしたサポート)
という理由があるからです。
この点、主人は不眠不休で付き添ってくれたので感謝しかありません。
看護師さん曰く、「どうしていいか分からない」と言って帰ったり、横でスマホをいじったりする男性がいるそうですが、夫婦関係の悪化は避けられないでしょうね。逆に言うと、男性が株を上げるチャンスだと思います。
4.産後も激痛との闘い
最後に、ついでなので産後の体のダメージについても書いておきます。
下品な話で恐縮ですが、私の場合こんな症状に悩まされました:
- 「痔」で一挙手一投足が激痛
- 象のように足が腫れ、歩けない
- 何か所も会陰切開したせいでトイレが恐怖
- 常にどこかが痛いので、精神的ダメージ甚大
特に苦しかったのが「痔」です。
産後レポート系ブログはわりと読みましたが、痔について書いたものはありませんでした。むしろ「夜中の授乳で寝不足」や「夫が非協力的」といった内容が多かったので、自分の場合もそれがメインだろうと考えていました。
が、実際には(もちろん睡眠不足もありますが)痔のインパクトはそれを上回るレベル。
立っても、座っても、寝ても、歩いても、日常動作の全てが「激痛」なのです。「子供の可愛さで痛みも吹き飛ぶ」と言いますが、私の場合効果はありませんでした。
おかげで痔の患者さんたちの気持ちが分かったので、その点ではいい経験でしたが。
■発達障害傾向者としての「妊娠・出産」の意義
こんな具合に、出産は私にとって「驚き」だらけでした。
たくさん学んだぶん、発達障害傾向の当事者としては「本当に経験できて良かった」と思うばかりです。
- 世の「母親」たちの価値観をある程度理解できた
- 他の女性に「社会通念」を押し付けるリスクが減った
- 概括すると、母親たちへの「共感性」を養えた
当然、出産は一人ひとり違うため、理解できたと言っても範囲は限られています。
しかし少なくとも、社会通念として固定化されがちな「出産」の当事者になったことで、現実に母親が直面している大変さを知ることができた。これは、「共感性の欠如」に悩んできた私にとって、彼女たちに寄り添うための最良のチャンスだったと言えます。この点で、私は出産して良かったと思うのです。
ただ、あまりにツラ過ぎて、ひとに勧めたいとは思えませんが。
これからは、発達障害傾向で営業スキルのある母親(属性多すぎ)として、日々学びを深めていきたいと思います。
以上、妊娠・出産で学んだことでした。
(追記)
使ってみてすごく良かったので、コッソリ宣伝↓
- 新生児から使える
- 表布が丈夫で、洗濯しまくっても傷みにくい
- デザインがカワイイ

(チャックル) chuckle 星柄外ベルトおむつカバー【ワンサイズ:5580cm】【日本製】 ブルー 55-80cm 2251-80-31
- 出版社/メーカー: ニシキ
- メディア: Baby Product
- この商品を含むブログを見る
↓あと、妊婦向け雑誌を買わない人向けに。何を読んでも「こんなはずでは」状態はありますが、イメトレはできます。

嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本 (講談社+α新書)
- 作者: 荻田和秀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/21
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
*1:嗅覚が異常に鋭敏になり、あらゆるもののニオイで気分が悪くなること。お米を炊くニオイすら、とんでもない悪臭に感じられました。
*2:通常は閉じている「耳管」(耳と喉をつなぐ管)が開いた状態になること。自分の声が頭に響いたり、耳に強風が吹き込むような感覚や「ゴーーー」という大きな音が聞こえたりします。非常に不快なため精神的ダメージが大きく、悪化すると痛みも出てきます。妊娠をきっかけに悪化する人が多いとのこと。
*3:殆どの方には意味不明かと思いますが、要するに「女性が陣痛を耐えるためのお手伝い」です。
*4:一説によれば、出産には2,000kcalが必要とのこと。
出産に要するカロリー消費量は、○○と一緒!出産の負担に不安になるママも…(2016年1月20日)|ウーマンエキサイト(1/4)2019/2/26閲覧。なお、病院食も出ますが、私の場合パサパサの「おから」だったので到底食べられませんでした。2~3分間隔の陣痛の合間にパッと飲みこめるものを、別に調達する必要があります。