こんにちは、
当ブログでは様々な「残業対策」をご紹介していますが、 実はこれだけ力を入れるにはある理由があります。
皆さんは、何だかお分かりでしょうか?
もちろん、「発達障害やグレーゾーンの方に、少しでも働きやすくなるヒントを」というのが一つ。
そしてもう一つは、「残業で体調を崩す人を、これ以上増やしたくない」ということです。
実は私自身、たびかさなる残業が原因で、何年も体調不良と闘い続けることになった張本人。もう、同じ思いをする人が出てほしくはないのです。
そこで今回は、「残業」がいかに「体調不良」を引き起こしてしまうか、具体的にご説明したいと思います。
体調を崩す
■「残業」と「体調不良」の関係
・「残業は体に毒」は正しい
「もうそろそろ帰ったら?」
「体に毒だよ」
皆さんには、こんな言葉を掛ける先輩がいるかも知れませんね。
でも、大抵は素直に聞けないもの。
「だってこの資料、明日の朝イチ〆切だもん」
「残業くらい、別にどうってことないし」
そう思って、口では返事をしながらも、その後ズルズル居残ってしまった…という経験があるのではないでしょうか?
しかし、実のところ、この先輩は非常に正しいことを言っているのです。
・一体、何がいけないか?
では、そもそも一体、「残業」の何が体に悪いのでしょうか?
それは、ズバリ
- 睡眠不足による精神疾患のリスク
- ストレスによるホルモンバランス悪化のリスク
この2点です。
「体に悪いよ」と言ってくれる先輩も、きっとここまで突っ込んだ話はしてくません。
ですから、これから詳しく説明したいと思います。
1.睡眠不足のリスク
(残業で睡眠不足に)
残業帰りで帰宅が深夜。ケータイをいじっているうちに、気付いたらもう2時…
ストレスでなかなか寝付けず、寝付いてもすぐ目覚めてしまう。朝、どうしてもスッキリしない。
こういった方も、きっと多いことでしょう。
残業づけの毎日だと、このようにどうしても「睡眠不足」になってしまいやすいのが実情ですよね。
(よくあることだが…)
実際、睡眠不足になっても、はっきり自覚できる影響は「日中の眠気」くらい。
会議でウトウトしても、ミントタブレットを口に放り込めば乗り切れる…そう思い、殆ど気に掛けない方もいるかも知れません。
しかし、実は「睡眠不足」は、居眠りだけでは済まされない怖いものなのです。
なぜなら、「精神疾患」のリスクを高める可能性があるからです。
(精神疾患のリスク)
Harvard Health Publishingでは、睡眠不足が「精神疾患」の直接・間接のリスクになることを指摘しています。
この理由はまだはっきりと分かっていないものの、どうも睡眠不足の状態がネガティブな考え方を生み出しやすくしているのではないか、との指摘がなされているそうです*1。
そして、近年問題化している「鬱病」の発症リスクについても、不眠症による睡眠不足によって鬱病発症リスクがそうでない人の4倍に上ったという研究もあるとのこと*2。
しかし、まだあまり認知されていないことなのですが、実は最近問題になっている「不妊」*3も、そんな病気の一つなのです。
(女性の場合)
まず、女性の場合から見ていきましょう。
ある研究で、女性を対象に「ストレスを感じた日」とそうでない日の女性ホルモン濃度(唾液中)を調べました。
すると、ストレスを感じた日のほうが、明らかに濃度が低かったのです。しかも、食事内容や睡眠時間などとは無関係でした*4。
女性ホルモンは、子宮の内膜を厚く整えるなど、妊娠に欠かせないホルモン*5。
これが正常に分泌されないということは、不妊の原因になってしまう可能性があるということなのです。
(男性の場合)
しかも、影響は女性だけにとどまりません。
実は男性にも、ストレスによる不妊リスクが指摘されています。
ある研究では、過去1年間に2つ以上ストレスを感じる出来事があった男性は、そうでない男性より精子の運動率が低く、精子の形態異常も多かったそうです。
しかも、結果は年齢やほかの健康問題、そして過去の不妊歴にも関係なく現れました。
さらに、仕事でストレスを感じている男性は、精液中の男性ホルモン「テストステロン」が減少することも分かったとのこと。これは不妊に繋がると考えられています*6。
まだ日本ではあまり知られていない、「ストレス」による「不妊」のリスク。少しでも、お分かりいただけたでしょうか?
■最後に
「鬱病」?自分には関係ない。毎日しんどいけど、ちゃんと生活できてるし。
「不妊」?結婚もしてないし、する気もない。ましてや子供なんて、余計なお世話!
きっと、そんな方も多いことでしょう。私もそうだったので、気持ちはよく分かります。
しかし、どちらも「なってからでは遅い」。そして「誰にでも起こりうる」。これだけは、はっきり言えることです。
「残業やストレスぐらいで、ガタガタ言うな!俺だって、それでやってきたんだ!」
こう言う上司もいるでしょうが、彼らが一体、あなたの人生の責任を取ってくれるでしょうか?
答えは「NO」です。
だからこそ、体調を崩す前に、「残業をしないようにする対策」が必要になってくるのです。このことを少しでも分かってもらえると、嬉しいです。
以上、残業で体調不良になってしまう理由でした。
*1:
2018/11/29閲覧
*2:同上ウェブサイト参照。)。
決して見過ごせない、怖い状態なのです。
(精神疾患になってしまったら)
私も実際、過労と睡眠不足から鬱病を発症しましたが、とても仕事どころではありません。
薬の副作用で集中できない。機敏な判断ができない。仕事の質が、ぐっと下がります。
そして、いったん発症すると、回復には長い時間が掛かってしまうもの。
さらに焦る。カバーしようと残業するから、クリニックもキャンセルしてしまう。適切な治療を受けず、さらに悪化する…
こんな負のスパイラルが、現実に起こらないとも限らないのです。
2.ホルモンバランスの悪化と不妊リスク
(不妊のリスク)
それともう一つ、ぜひとも知っておいてほしいことがあります。
それは、残業によるストレスで、「ホルモンバランス」が崩れてしまう可能性があるということです。
ホルモンバランスの崩れは、様々な病気の原因になることが知られています((
例えば、下記HPでは脂質異常症や糖尿病が挙げられています。
2018/11/29閲覧
*3:不妊を心配したことがある(実際に治療を受けたカップルを含む)カップルは、なんと全体の35%に上ります。しかも、前回調査よりも増えています。下記データをご覧ください。
国立社会保障・人口問題研究所「第 15 回出生動向基本調査 」p.25(2)不妊についての心配と治療経験
*4:この調査は、唾液中の「エストラジオ―ル」(エストロゲンという卵巣ホルモンの1種)の濃度についての結果です。
2018/11/29閲覧
*5:
2018/11/29閲覧
*6:
2018/11/29